紀伊半島の南端に位置する串本町。100種類以上もの珊瑚が自生する暖かい海で、ダイビングやカヌー、釣りなどマリンアクティビティもさかんです。そんな串本は様々な魚介類が漁獲されますが、中でも伝統的な漁法で年間を通して水揚げされる鰹は、他では味わえない逸品です。
そんな鰹を使った串本の郷土料理「鰹茶漬け」の魅力と鰹茶漬けを味わえる、地元でも人気の美味しいお店を紹介します。串本に訪れた際は鰹茶漬けを是非味わってみましょう。
串本は鰹の町

紀伊半島先端の豊かな漁場が生み出す美味しい魚
紀伊半島の先端にある串本町は、年間通して様々な種類の魚介類が水揚げされる好漁場です。複雑に入り組んだリアス式海岸や大海流黒潮、真冬でも15度を下回らない高い海水温など、熱帯や温帯の様々な海洋生物が見られる豊かな海です。

沖合では太平洋を北上する黒潮に沿って回遊するカツオやマグロなどの漁が古くから行われています。「ケンケン漁」と呼ばれるこの地発祥の伝統的な引き縄釣り漁で釣り上げられた鰹は、鮮度の高さとモチモチとした食感でブランド鰹として人気を集めています。
漁の最盛期は例年3月~5月の「初鰹」ですが、夏から秋にかけては「戻り鰹」として、大きな型の脂ののったカツオが漁獲され年間通して新鮮な鰹を味わうことができます。ですが、近年では日本近海への鰹の来遊量が減っており、黒潮の流れの変化が追い打ちをかけ、全国的にも鰹の漁獲量は少ない状態が続いています。串本でも水揚げが少ない日には、お店での鰹の提供が少ないこともあるので、不安な場合はお店などに問い合わせておくと安心ですね。
昔ながらの鰹漁「ケンケン漁」

ケンケン漁はこの地発祥のカツオ漁で、船の両側や中央からはりだした長い竿に擬餌針(ぎじばり)をたらし、船を走らせエサが泳いでいるように見せて鰹を1本ずつ釣りあげる引き縄釣り漁です。明治の初め頃、串本町からハワイに大勢の人が移民し、その中の漁師たちが現地の島民と共に改良した漁法とされています。釣り上げた鰹はすぐに船の上で冷凍保存されるので鮮度は抜群。独特のもちもちとした食感は、たたきにせずに刺し身で食べても感動できる美味しさです。
ちなみに、ケンケンという名前の由来は、ハワイの言葉で羽のついたルアーを「ケンケン」と呼ぶことに由来するという説や、水揚げするときに鰹が水面をケンケンするように飛び跳ねたからという説などがあります。
串本名物「鰹茶漬け」とは

鰹茶漬けは、鰹の漬けに熱々のお茶をかけていただくお茶漬けです。昔から串本でたくさん獲れる鰹は、刺し身やたたきはもちろん、より手軽にお茶漬けとしても食べられてきました。
醤油やゴマダレで漬けにした鰹の刺し身に、お茶やダシなどをかけてサラサラといただく鰹茶漬けは、朝ご飯やランチ、夕食の食卓はもちろん、お酒の後の〆など、串本では日常のメニューとして食べられています。鰹は鮮度が落ちると生臭くなってしまうので、鮮度が高いまま食べられる漁師町ならではのメニューだと言えます。
「鰹茶漬け」の美味しさ

鰹がよく獲れる地域ではその地域ならではの鰹茶漬けがあります。三重県の志摩市では生姜と生醤油でお刺身として頂いたあとにお茶漬けにするそうですが、醤油やごまダレで漬けにしてからお茶漬けにするのが串本で一般的な食べ方です。脂ののった鰹を醤油や味噌、ごまなどで味付けして漬けにします。ご飯に漬けを乗せてのりをかけたら漬け丼の完成です。
このまま漬け丼として食べてももちろん美味しいのですが、その後にさらに熱々のお茶やダシなどをかけてお茶漬けにして鰹茶漬けに。鰹は火が通った状態になり、味の変化も楽しめます。濃厚な鰹の風味もお茶漬けにするとよりマイルドになり、一杯食べるとほっとするような味わいです。
Hotel & Resorts WAKAYAMA-KUSHIMOTOの鰹茶漬け


当ホテルの1階、太平洋を望む開放感抜群の「レストランソレイユ」では、朝食バイキングに鰹茶漬けを提供しています。胡麻と和歌山県の特産品金山寺味噌を使ってアレンジし、「南端(なんたん)茶漬け」と名付けました。胡麻の風味が鰹の旨味とマッチして口いっぱいに広がります。ぜひ朝食に味わっていただきたい一杯です。一日の活力の源として朝からパワー全開で楽しめることでしょう。
ホテル周辺の鰹茶漬けの美味しいお店をご紹介
ホテル周辺にも美味しい鰹茶漬けを食べられるお店があります。今回紹介するお店はホテルからも至近ですので、ちょっと足を伸ばして鰹茶漬けを味わってみるのはいかがでしょうか。
料理 萬口

提供:料理 萬口
紀勢本線の串本駅からほど近い「料理 萬口」は、串本で鰹茶漬け、といえば最初に名前の挙がる人気店です。看板メニューの鰹茶漬けは、鰹に絡めた秘伝のごまダレが絶品で、鮮度の高い鰹は生臭さがまったくありません。
がっつり堪能したい方は「かつお茶漬け満腹セット」がおすすめです。1杯目は刻みのりとわさびを添えた漬け丼として、2杯目は熱々のお茶をかけたお茶漬け、3杯目は漬けに溶き卵を絡めてご飯にかける、「カチ飯」と呼ばれる食べ方で3回楽しむことができます。さらに鰹の煮付けなどの小鉢もついて、文字通り満腹になれるセットです。食べ方はお店の人が丁寧に説明してくれるので、初めてでも安心です。
- 住所
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和歌山県東牟婁郡串本町串本42-17
- アクセス
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『Hotel & Resorts WAKAYAMA-KUSHIMOTO』より、お車で約5分
- 電話番号
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0735-62-0344
- 営業時間
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11:30~21:30
- 定休日
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水曜日(祝日の場合は翌日)
- 公式サイト
居酒屋 ひろや

提供:居酒屋 ひろや
「居酒屋 ひろや」は料理上手な女将さんが作る、串本で水揚げされた鮮度バツグンの海鮮料理を味わえるお店です。鰹茶漬けをはじめ、その日に仕入れた魚介類を様々な料理で提供しています。
お造り盛り合わせは1人前1,000円~、天ぷらやグラタンなどレパートリーは幅広く、どれも絶品と評判です。気さくな女将さんとの会話にほっと和むことでしょう。鰹茶漬けは醤油系の味付けで、昔から串本で食べられている伝統の味が味わえます。水揚げが少ない日は食べられない場合もあるので、訪れる際はお店に問い合わせておくと良いでしょう。
- 住所
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和歌山県東牟婁郡串本町串本2304 成和ビル105
- アクセス
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『Hotel & Resorts WAKAYAMA-KUSHIMOTO』より、お車で約5分
- 電話番号
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0735-62-6614
- 営業時間
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17:00~21:00
- 定休日
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日曜日
- 公式サイト
紀伊半島の南端に位置する串本町の名物、鰹茶漬けの魅力と鰹茶漬けを味わえる美味しいお店を紹介しました。串本名物鰹茶漬けはなかなか他では食べられない味わいなので、ぜひ一度味わいに串本に訪れてみてください。その際には、当ホテル自慢の「南端茶漬け」も味わってくださいね。
串本は鰹だけでなく、世界で初めて完全養殖に成功したクロマグロや、近海で獲れるアジやイワシ、伊勢海老やサザエなど、新鮮な魚介類を思う存分堪能できます。ホテルではその串本の魚介類をふんだんに使った料理もお出ししていますので、鰹茶漬け以外の串本の美味しい味覚も是非どうぞ。
※当ページの掲載写真はイメージです。