
2017年の大河ドラマの主人公に選ばれ、注目が高まる井伊家唯一の女領主「井伊直虎(いいなおとら)」。女性でありながら男の名を名乗り、優れた政治手腕で井伊家受難の時代を救った人物として、今もなお語り継がれています。
そんな直虎の良き相談相手であった「南渓瑞聞(なんけいずいもん)」が和尚を務めていた寺院が、浜松市井伊谷(いいのや)にある「龍潭寺(りょうたんじ)」です。龍潭寺には、井伊家40代を祀る菩提寺として、直虎の供養塔を初め、井伊家の墓所が祀られています。また、国指定の名勝「龍潭寺庭園」の四季折々にうつろう風景も、大きな見どころの一つです。
今回は、直虎に大変ゆかりの深い龍潭寺と、歴史ファンにはたまらない浜名湖周辺の歴史散策スポットをあわせてご紹介します。浜松の地で、波乱に満ちた直虎の生涯を辿り、歴史に想いを馳せる旅にあなたも出かけてみてはいかがでしょうか。
ホテルからのアクセス

井伊家の先祖が眠る菩提寺(ぼだいじ)

静岡県浜松市の風光明媚な奥浜名湖にある龍潭寺は、行基菩薩によって733年に開創された臨済宗妙心寺派の寺院です。永禄3年(1560年)桶狭間の戦いで戦死した井伊直盛の戒名をとり「龍潭寺」と寺号が改められました。
龍潭寺は、井伊家歴代当主の御霊が眠る菩提寺であり、生前結ばれることのなかった「井伊直親」の墓と隣合って「井伊直虎」のお墓も祀られています。また、「日本の森百選」に選ばれるほどの美しさを誇る約1万坪の境内には、緑豊かな木々が生い茂り、静寂に包まれた心休まる空間となっています。
国指定の名勝庭園をはじめ、赤地に「井」の記が描かれた籠など、井伊氏拝領の品々も収められ、江戸時代に建立されたといわれている龍潭寺伽藍 6棟(本堂、庫裏、山門、開山堂、井伊家霊屋、稲荷堂)は、貴重な文化資源として静岡県指定有形文化財に認定されています。

山門
立派な四脚門造りの総門を仰ぎ見ながら参道に入ります。

庫裡(くり)
禅寺特有の大破風が美しい庫裡は、1815年に第14世住職の仲山和尚代によって建立されました。

開山堂
本堂西には、開山黙宗 瑞淵和尚が祀られている朱塗り楼閣造りの開山堂があります。塔上に井伊氏の家紋と、彦根井筒が見られます。

開山堂 龍の彫刻(伝左甚五郎作)

正夢稲荷様が祀られている萬松稲荷

~女領主「井伊直虎」の壮大な人生物語~
井伊家第22代当主・直盛の一人娘として誕生した井伊直虎。父・ 直盛には男子がなく、早くより娘の許婚(いいなずけ)として従弟(いとこ)の井伊直親に家督を継がせる予定でした。しかし、直親の父が今川氏に殺され、直親自身も命を狙われたため、井伊家の領地から脱出し信州へ逃亡します。
直虎は、直親が亡くなったと思いこみ、龍潭寺で男性名「次郎法師」を名乗り、出家することを決意。その後、井伊谷に戻った直親と再会しますが、直親は奥山家の娘を正室に迎えていたため、直虎は婚期を逸すこととなります。
1560年(永禄3年)、桶狭間の戦いで直虎の父・直盛が戦死すると、続いて直親も謀殺され、家中を支えていた者たちを次々と失います。そんな激しい戦いが繰り広げられる中、直虎は龍潭寺の住職である「南渓和尚」の計らいもあり、ただ一人の後継者で直親の遺児である「直政(虎松)」を後見人として養育しながら、女領主「井伊直虎」となり、井伊家断絶の危機を救いました。

鴬張りの廊下

1729年建立 丈六(じょうろく)の仏

井伊家一千年の歴史を祀る霊屋

井伊家歴代墓所

龍潭寺本堂内部の様子

直虎ゆかりの貴重な品々
国指定名勝 龍潭寺庭園の風景




本堂北庭として築かれた龍潭寺庭園は、小堀遠州によって江戸時代初期に造られた「池泉鑑賞式庭園」です。1936年には、国指定の名勝記念物に指定されており、寺院庭園としては代表的な庭になります。龍潭寺庭園には、中国の道教「蓬莱神仙思想(ほうらいしんせんしそう)」から、「不老不死」や「永遠の繁栄」の意が込められています。池の両側に、庭全体の守り神である「仁王石」、正面に「礼拝石(坐禅石)」、庭園中央には「守護石」が配置され、本堂から正面に見える小高い丘は「山の峰」、丸く刈られた木は「山脈」、心の形をした心字池は「大海」を表し、数多くの石組みと築山全体で「鶴亀」が表現されています。
また、四季の変化で魅せる豊かな木々や花々も魅力のひとつで、3月から4月に「桜」や「八重桜」、5月から6月にかけてはピンク色の「さつき」が鮮やかに色づきます。初夏の梅雨時期に「紫陽花」が咲き、気温が下がりはじめる11月から12月には、たくさんの人々が紅葉を見に訪れます。冬の厳しい寒さがやっと緩む頃、「梅」や「椿」の花がほころび、春の訪れを感じさせてくれます。
「日本の美しい風景」がこの場所にあり、日本庭園の醍醐味を存分に楽しめる空間が演出されています。歴史に想いを馳せながら、緩やかなひとときをお過ごしいただけるのではないでしょうか。
臨済宗妙心寺派 龍潭寺
- 場所
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〒431-2212 静岡県浜松市北区引佐町井伊谷1989
- TEL
-
053-542-0480(代)
- 拝観時間
-
9:00~16:30(17:00 閉門)
- 休館日
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- 毎年
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8月15日
12月22・23・24・25・26・27日
行事により臨時休館する場合もあります。
- 拝観料金
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大人(高校生以上)¥500/¥450(団体)
小人(小・中学生)¥200/¥180(団体)
- アクセス
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車の方
新東名高速道路 浜松いなさI.CよりR257を南へ約10分
もしくは東名高速道路 浜松西I.CよりR257を北へ約30分徒歩の方
JR浜松駅下車、遠州鉄道バス 渋川行き「井伊谷宮前」下車、徒歩約3分
- ※
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期間限定
JR浜松駅下車、遠州鉄道バス「神宮寺」下車、徒歩約8分
もしくは天竜浜名湖線金指駅よりタクシーで約6分
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「学問」、「心願成就」、「開運の神」として信仰される神社
井伊谷宮(いいのやぐう)は、静岡県浜松市北区の井伊谷にある神社です。祭神は、後醍醐天皇第四王子の「宗良(むねなが)親王」で南北朝時代に活躍し、この地で没したと伝えられています。宗良親王は、学問や和歌に優れていたことから、「学問の神」として広く知られており、毎年多くの参拝者が合格祈願のために訪れます。
境内には、約1,500点の絵馬を展示する「日本絵馬資料館」や文化財の宗良親王御真筆色紙を展示する「資料館」、小さい子供を抱えている聖母の形をした「慈母観音石」など見どころもたくさんあります。
龍潭寺のすぐ裏側にあるので、龍潭寺と井伊谷宮、2箇所合わせてお参りし、ご利益をたっぷり授かりましょう。

御神木

摂社 井伊社

本殿
井伊谷宮
- 場所
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〒431-2212 静岡県浜松市北区引佐町井伊谷1991-1
- TEL
-
053-542-0355
- アクセス
-
車の方
新東名高速道路 浜松いなさI.CよりR257を南へ約10分
もしくは東名高速道路 浜松西I.CよりR257を北へ約20分徒歩の方
JR浜松駅下車、遠州鉄道バス「神宮寺」下車、徒歩約8分
もしくは天竜浜名湖線金指駅よりタクシーで約12分

江戸時代の面影が残る国内唯一現存する関所跡
別名「今切の関所」ともいわれた「新居関所(あらいせきしょ)」は、1600年(慶長5年)に徳川家康が設置しました。国内唯一の現存する関所建物として、国の特別史跡に指定されています。幕府は江戸を守るため全国に53ヶ所の関所を設け、新居関所では特に「入り鉄砲に出女」を厳しく取り締まりました。
関所跡には、面番所・書院・下改勝手・足軽勝手の建物が現存し、付設された史料館には女通行手形などの江戸時代の交通史料・道具類が展示されています。

徳富蘇峰墨跡-東海古関-
明治から昭和にかけて活躍した政治評論家・史論家の徳富蘇峰が熊本へ向かう途中に新居関所で書き残した書。

あらため女
江戸幕府は、反乱を防ぐため関所に「あらため女」をおいて男装していないかどうかも含め、大名の妻子の江戸脱出を厳重に取り締まりました。

関所の石樋(いしひ)
石樋は雨水などを流すための側溝で、2つの石樋はその先端部分です。鴨のくちばしのように突き出ていたため、「鴨の嘴」や「鴨の口」と呼ばれました。


新居関所(国指定特別史跡)・関所史料館
- 場所
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〒431-0302 静岡県湖西市新居町新居1227-5
- TEL
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053-594-3615
- 開館時間
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9:00~17:00(受付締切16:30)
- 休館日
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毎週月曜日(※月曜日が祝日の場合は開館)
年末年始(12月26日~1月2日)
- 入館料
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大人¥310 小・中学生¥100
- アクセス
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車の方
東名高速浜松西IC・三ケ日ICより約30分
徒歩の方
JR新居町駅より徒歩で約9分
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関所案内ガイドのご予約も受付中!
ボランティアガイド「新居宿史跡案内人の会」が無料で構内をご案内。原則予約制ですが、案内人が居る時は随時受付けていますので是非ご利用ください。
ご予約はこちらまで→053-594-3615(新居宿史跡案内人の会)
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